伊勢神宮へ行くなら、一度は早朝の内宮を歩いてみてほしい。
私たち夫婦は、そう思っています。
昼間の伊勢神宮ももちろん素晴らしいです。
たくさんの人が行き交うおはらい町。
お店をのぞきながら歩く楽しさ。
伊勢ならではの食べ物。
そんな賑やかな伊勢も大好きです。
でも、朝5時。
まだ多くの人が眠っている時間の伊勢には、昼間とはまったく違う表情があります。
静かな参道。
鳥の声。
木々の音。
そして、自分たちが玉砂利を踏む、
ザッ、ザッ、ザッ……
という音。
私たち夫婦が毎年伊勢へ行く中で、特に大切にしているのが、この早朝参拝です。
今回は、9月中旬に妻の両親と一緒に訪れた、ある朝のことを書いてみたいと思います。
朝5時、伊久を出て内宮へ
この日の宿は、いつもの「いにしえの宿 伊久」。
伊久に泊まる理由のひとつが、内宮まで歩いて行けることです。
朝5時。
正直、眠いです(笑)。
旅行に来たんだから、もう少しゆっくり寝ていてもいい。
そう思う気持ちもあります。
それでも起きて、妻と妻の両親と一緒に宿を出ます。
9月中旬の朝5時。

外へ出ると、昼間とは違う少しひんやりとした空気。
まだ人通りも少なく、伊勢の町も目を覚ます前のようです。
話をしながら歩いていた私たちも、内宮に近づくにつれて、なぜか少しずつ口数が減っていきます。
そして、宇治橋の前へ。
ここから、私の大好きな伊勢の朝が始まります。
鳥居をくぐると、空気が変わる
大きな鳥居の前に立ち、一礼して中へ入ります。
私は毎年ここで感じることがあります。
鳥居をくぐった瞬間、空気が変わる。
うまく説明できません。
本当に空気そのものが変わっているわけではないのかもしれません。
でも、鳥居の向こうへ一歩足を踏み入れると、
「ここから先は違う場所なんだ」
そんな気持ちになります。
自然と背筋が伸びます。
宇治橋を渡りながら見る五十鈴川。
早朝の静かな空気。
妻も、妻の両親も、さっきまでより少し静かに歩いています。
無理に会話をしなくてもいい。
ただ一緒に歩く。
それだけで心地いい。
50代になって、そんな時間も夫婦にとって大切なんだと思うようになりました。
静かな内宮に響く、玉砂利を踏む音
早朝の内宮で、私が一番好きなのは「音」かもしれません。
人が少ないからこそ、普段なら気づかない音が聞こえてきます。
鳥の声。
風で木々が揺れる音。
そして、
ザッ、ザッ、ザッ……。
自分たちが玉砂利を踏む音です。
4人で歩いていると、その足音が静かな参道に響きます。
昼間なら周りの人の声に紛れてしまうような音です。
でも朝は、その音が驚くほどよく聞こえます。
急ぐ必要もありません。
誰かと競う必要もありません。
ただ一歩ずつ歩く。
仕事をしていると、毎日いろいろなことがあります。
時間に追われることもあります。
家に帰れば、また日常があります。
でも、この時間だけは少し違います。
何も考えず、
ただ妻と同じ道を歩いている。
それだけでいい。
そんな気持ちにさせてくれるのが、私にとって早朝の内宮です。
五十鈴川で手を清めると、気持ちまで引き締まる
参道を進み、五十鈴川の御手洗場へ。
ここで手を清めます。
朝の五十鈴川は、本当に静かです。
流れる水を眺めているだけでも、不思議と気持ちが落ち着きます。

そして水に手を入れる。
その瞬間、
スッと気持ちが引き締まります。
毎年訪れている場所なのに、毎年同じ気持ちになるわけではありません。
自分たちも一つ歳を重ねています。
妻も歳を重ねます。
妻の両親も同じです。
だから、この日は特に思いました。
「今年もみんなでここまで来られたな」
と。
若い頃なら、そんなことを考えなかったかもしれません。
旅行に行けること。
歩けること。
家族みんなで同じ場所に立てること。
昔は当たり前だと思っていたことが、50代になると少しずつ「ありがたいこと」に変わっていきます。
五十鈴川で手を清めながら、
今年も伊勢へ来られたことに感謝する。
私にとってここは、手だけではなく、気持ちまで整えてくれる場所なのかもしれません。
夫婦だから、ずっと話していなくてもいい
旅行というと、
「夫婦の会話が増える」
と私はよく書きます。
実際、私たちも旅行へ行くと普段よりたくさん話します。
でも、早朝の伊勢は少し違います。
それほど話さないんです。
妻が隣を歩いている。
妻の両親も一緒に歩いている。
ただ、それだけ。
でも不思議と気まずくありません。
むしろ心地いい。
夫婦って、ずっと会話をしていなくてもいいんですよね。
一緒に同じものを見て、
同じ空気を感じて、
同じ方向へ歩いている。
言葉がなくても、それも立派な「夫婦時間」なんだと思います。
最後は鯉に「また来年も来るよ」
そして、私たちにはもうひとつ、毎年の楽しみがあります。
最後に内宮の鯉を見ることです。
ゆっくり泳いでいる鯉を二人で眺めます。
そして私は、心の中でというより、ほとんど本当に話しかけるような気持ちで、
「また来年も来るよ」
と言います。
鯉に言っても分からないでしょうけど(笑)。
でも、この一言が私には大切なんです。
「また来年も来るよ」
ということは、
来年も自分が元気でいること。
妻も元気でいること。
また二人で旅行できること。
そして、できることなら家族も元気でいること。
そんな願いが全部、この短い一言に入っているような気がします。
早朝参拝のあとは、やっぱり赤福

参拝を終えたあとの楽しみがあります。
赤福です。
おかげ横丁の橋の横にある赤福本店へ向かいます。
朝5時から歩いて参拝したあとなので、ちょうどいい休憩です。
赤福餅とお茶を前にして、
「やっぱり美味しいね」
そんな何でもない会話をしながらいただきます。
毎年食べているのに、やっぱり美味しい。
そして不思議なことに、私にとっては昼間に食べる赤福と、早朝参拝のあとに食べる赤福は少し違います。
味が違うわけではありません。
でも、
早起きして、
二人で歩いて、
参拝して、
五十鈴川で手を清めて、
そのあとに食べる。
そこまで全部含めて「赤福」なんですよね。
私たち夫婦にとって、毎年楽しみにしている伊勢の朝です。
50代夫婦に、早朝参拝をおすすめしたい理由
早朝参拝は、何か特別なイベントがあるわけではありません。
朝早く起きて、
内宮まで歩いて、
参拝する。
それだけです。
でも、50代になった今だからこそ、その「それだけ」がいいんです。
若い頃の旅行なら、
「あそこにも行きたい」
「ここも見たい」
と予定を詰め込んでいたと思います。
もちろん、それも楽しい。
でも今は、
何もしない時間を楽しめる旅行もいい。
そう思います。
静かな場所を夫婦で歩く。
たくさん話さなくてもいい。
同じ景色を見る。
同じ空気を感じる。
そんな時間が、夫婦の距離を少しだけ近づけてくれる気がします。
だから、もし伊勢に宿泊する機会があれば、一度だけでも少し早起きしてみてください。
昼間とは違う伊勢神宮に出会えると思います。
来年もまた、朝5時に歩きたい
朝5時に宿を出る。
鳥居の前で一礼する。
静かな参道に響く玉砂利の音を聞きながら歩く。
五十鈴川で手を清める。
参拝する。
鯉を見ながら
「また来年も来るよ」
と言う。
そして最後に赤福を食べる。
文字にすると、本当にそれだけのことです。
でも私たち夫婦にとっては、大切な一年の行事になっています。
毎年来ている伊勢だからこそ、
「今年も来られた」
と思える。
そして帰るときには、
「来年も来たい」
と思える。
50代になった今、来年の約束ができること自体が幸せなのかもしれません。
来年も妻と一緒に歩きたい。
また五十鈴川の水に触れたい。
妻の隣で玉砂利を踏む音を聞きたい。
赤福を食べながら、
「やっぱり美味しいね」
と笑いたい。
そして、いつもの鯉に会ったら、また言おうと思います。
「また来年も来るよ」
それが、私たち夫婦の伊勢の朝です。
伊勢神宮の早朝参拝は、ただ朝早くお参りするだけではありませんでした。
静かな参道を歩き、五十鈴川で手を清め、妻と並んで玉砂利の音を聞く。
そんな何気ない時間が、50代になった今の私には、とても大切に思えます。
来年もまた、二人でここを歩けますように。
また来るよ、伊勢。
私たち夫婦が毎年伊勢を訪れる理由については、こちらの記事でも書いています。
▶ 50代夫婦が毎年伊勢へ行く理由|「また来年も来ようね」が私たちの夫婦時間50代夫婦が毎年伊勢へ行く理由|「また来年も来ようね」が私たちの夫婦時間
早朝参拝を楽しんだ1泊2日の伊勢旅行
今回の早朝参拝は、親子3世代5人で訪れた伊勢旅行の2日目に体験しました。
金沢から電車で伊勢へ向かい、外宮や月讀宮、内宮、二見興玉神社などを巡った旅の全行程を、こちらの記事で紹介しています。
▶ 金沢から伊勢へ1泊2日|親子3世代5人の車なしモデルコースhttps://futari-relax.com/kanazawa-ise-2days-no-car/

